大切籠
※旧キリコ会館で展示されていた大切籠(輪島市教委文化課提供) 

 ◆輪島塗職人 魂込め復元へ
 江戸時代の豪商が作った高さ12メートルのキリコ「中島屋の大切籠きりこ」の修復作業が、輪島市内で今月下旬から始まる。市や商工関係者らは、絢爛けんらん豪華な作りを復活させて新たな観光の目玉にしたい考えで、修復後は輪島キリコ会館で展示される予定だ。

 大切籠は市指定有形民俗文化財で、現在の一般的なサイズの2倍の高さを誇る。総輪島塗の本体に、シャチや竜などの細かな彫刻が飾り付けられている。多くのキリコが地区のシンボルとして住民全体で費用をまかなって作られたのに対し、酒造や質屋で大きな富を得た中島屋は1853年、単独でキリコを制作。現在の貨幣価値で3000万円以上かかったとみられる。
 中島屋が倒産した後の1877年、キリコは地元(現在の同市深見町)が購入し、祭りになると地元の小学校のグラウンドでお披露目されるのが恒例だった。1970年代からは旧キリコ会館で展示されていたが、傷みが目立っていたという。
 
 今年3月の輪島キリコ会館オープンに合わせ、深見町出身の民宿経営岩坂紀明さん(48)が「こんなぜいたくなキリコはどこを探してもない。小さい頃に見た姿を取り戻したい」と提案し、市や国の補助金など計約970万円をかけて復元される運びとなった。修復作業は今月下旬に始まり、来年2月までに完了する予定だ。
 大切籠は塗装がはげ、柱にひびが入っていたほか、先端近くの絵柄やあんどんの本来の位置が分からなくなっていたことから、昔の写真などを参考に修理箇所と方法を決めた。
 風格を決める漆を塗るのは地元の漆器職人、田谷昭宏さん(52)。「輪島のキリコは輪島の職人の手で直す。どこにも負けないキリコを復活させたい」と意気込みをみせる。
 修復後に輪島キリコ会館に展示する予定で、市教委文化課の担当者は「観光客に見たり担いだりしてもらうなど、生きた文化財として活用していきたい」と話している。
※YOMIURI ONLINEより