「大漁」に活気づく 伝統の地引き網漁体験

 和歌山県白浜町の富田浦歴史文化保全協議会(湊宏会長)は7日、同町中の中大浜で、地域で盛んだった地引き網漁を再現する体験会を開いた。子どもらが漁師と一緒に網を引いてブリやタイなどを捕り、浜は活気づいた。 

 中地区の地引き網漁は明治から昭和初期まで盛んだったが、担い手の高齢化で衰退した。現在は団体の要望があれば、中地曳網組合(浜口弘悦組合長)が地域住民らの協力で体験イベントとして開いている。 

 今回は地引き網漁の保全や継承に取り組む同協議会が「県道フラワーライン」の開通を記念して開き、地元や周辺市町から家族連れら約500人が集まった。 

 組合員らが浜の350メートル沖に500メートルの網を仕掛け、午前9時半ごろから網を浜へ引き寄せた。最初は巻き網機で引き上げ、網が海岸に近づくと子どもらも作業に加わった。網に掛かったブリやメジロ、タイ、エイ、サメなどが次々と姿を現し、子どもらは声を上げて喜んだ。漁獲量は昨年の2倍以上の約50キロ。浜口組合長(80)は「今回は大漁だった。浜に活気が戻り、皆さんにも喜んでもらえた」と話した。 

 参加者には、水揚げされたブリやタイのほか、主催者が用意した富田産の米やミカンなどが抽選で配られた。 

 一番大きいブリが当たった上富田町市ノ瀬小学校3年の水野健太君(8)は「当たってうれしい」と笑顔。田辺市新庄第二小学校6年の谷口琴音さん(12)は「魚を見るのが楽しみで参加した。エイやサメが掛かっていたのに驚いた」と声を弾ませた。 
【地引き網漁を体験する子どもら(和歌山県白浜町中で)】
更新)
※紀伊民報より