北海道シャチ研究大学連合活動報告会
※画像、北海道シャチ研究大学連合活動報告会のボスターの一部

■北海道シャチ研究大学連合活動報告会の内容

 2016年5月28日、北海道羅臼にて、北海道シャチ研究大学連合(Uni-HORP)活動報告会が開催されました。

 北大や東海大など道内外5大学の研究者や有識者などでつくる「北海道シャチ研究大学連合」がこれまで5年かけて羅臼沖などで実施した研究の成果を披露する報告会でした。

 当日は「羅臼と釧路海域に出現するシャチの個体識別について」「北海道東部海域のシャチの鳴音と行動」などと題した報告が行われたようです。

※参考:北海道シャチ研究大学連合(Uni-HORP)について
東海大学,常磐大学,北海道大学,三重大学,京都大学の合同研究チーム

■主な内容

・羅臼で個体識別されたのが、219頭
・釧路では、105頭
・羅臼、釧路両方で確認されたのは、16頭
・北海道東部では、少なくとも308頭のシャチが生息
・2015年10月、日本で初めて釧路沖のシャチの背ビレに衛星発信器を取り付け、位置情報が76日間受信され、11月には北方領土の択捉島沖に到着
・2005年羅臼町相泊で流氷に閉じ込められて死亡したシャチの胃の内容物よりアザラシとイカ類の組み合わせを好む食性と分かった
(※関連記事:シャチの全身骨格標本 知床世界自然遺産・知床国立公園 羅臼ビジターセンター

北海道地図
※参考画像:北海道の地図

北海道海底地形図
※参考画像:北海道の大まかな海底地形図

※参考
・釧路沖の水深200メートル付近の海域を移動
(北海道大北方生物圏フィールド科学センターの海洋生物学専門の三谷曜子准教授が説明したという、過去新聞記事より)

※参考:知床ドリーム氏ツイッターより⇓
 

■参考:北海道のシャチに発信器取り付けについての過去記事

題:釧路沖に群れ見られる季節 生態解明進む 教育や観光でも注目、北海道

 魚や海鳥、アザラシなどの海洋生物が豊富な釧路沖に、今年もシャチの群れが見られる季節が来た。研究者らのチームは今年、日本初の発信器を使った調査に成功。シャチの生態解明が進むと共に、地域でも教育や観光の貴重な資源として注目されている。

<発信器取り付け成功>
 「釧路沖の水深200メートル付近の海域を移動していますね」

 北海道大北方生物圏フィールド科学センターの三谷曜子准教授(海洋生物学)が、シャチの位置を地図上に示す画面を見ながら説明した。

 三谷さんらの研究チームは、2015年10月上旬に釧路沖で、成熟した雌とみられるシャチの背びれに、海面に浮上すると位置情報を発信し、衛星で受信する装置の取り付けに成功した。釧路沖に来遊するシャチの生息範囲や行動を探る大きな手がかりとして期待されている。

 毎年10~12月ごろ、釧路沖で来遊するシャチの群れがよく観察される。この地域では暖流と寒流がぶつかり、沖合15キロあたりから急激に深くなって水深5,000メートルにもなる釧路海底谷が刻まれていて、こうした条件が深海から栄養豊富な海水をわき上がらせている。プランクトンから魚、鯨類まで多様な生物が集まり、大きな食物連鎖が形成されているという。

 シャチの来遊は10年ほど前から研究者の間に知られ始め、北海道大・三重大・東海大など全国5大学の研究者らが2010年11月に「北海道シャチ研究大学連合プロジェクト」を発足。毎秋に調査航海し、背びれの形による個体識別や群れの鳴き声の特徴などを研究している。釧路沖では約100頭、羅臼沖でも300頭以上が個体識別され、うち16頭が両海域を行き来していることも分かったという。

 三谷さんは「釧路の豊かな海には、頂点に立つシャチを支える生態系がある。DNA調査などでシャチの家系図を明らかにしたい」と話す。

<豊かな海知って>
 海の豊かさを地元に知ってもらおうと環境教育に力を入れているのが、海洋生物の専門家ら4人が2007年に結成した「さかまた組」だ。2008年から毎年、釧路市内で来遊するイルカやシャチの写真展を開き、調査航海に市民約40人を招いている。今年はJTB北海道が初めて企画した「海洋生物観察クルーズ」にも協力。国内でシャチが見られる貴重な機会とあって人気も高く、20日の募集開始からすぐに先着75人の枠が埋まった。釧路総合振興局も、新たな観光資源として関心を示している。

 さかまた組代表の笹森琴絵さんは「釧路は捕鯨のまちでもあり、海の環境を守るためにも地元の人たちに知ってもらいたい。観光もチャンスの一つ。シャチや環境の保全とバランスを取りながら進めていきたい」と話す。【三股智子氏】 
※2015年10月28日の毎日新聞地方版より

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